「子どものことは学校に任せる」学校依存度が極めて高い〝親と地域〟が、教師を疲弊させている【西岡正樹】
◾️子どもたちは今、ほとんどの時間を仮想空間の中で遊んでいる
児童間トラブルは、学校内だけではなく、多くがインターネット上でも起きている。考えてみれば、現状、子どもたちはほとんどの時間を仮想空間の中で遊んでいるのだからどのような場であれ、子どもと子どもが交流を始めたら喧嘩もするしトラブルも起きるだろう。さらに言えば、周りから見えない密室的な状況に複数の子どもたちがいたら、喧嘩やトラブルが起きるのは当然のことだ。子どもたちがインターネット上で自由に交流し始めた時からトラブルが生じるのは必然なのだが、「家庭」はトラブルが起きることを前提にして子どもたちに端末を与えていない。
また、インターネット上で問題が起きた時点で、「家庭」は、端末を持たせることに躊躇してもよさそうなものだが・・・。危機意識の乏しい親たちは、トラブルが解決されていないのにもかかわらず、子どもに端末を持たせ続ける。当然、子どもは自分の力でトラブルの連鎖をくい止めることなんてできない(トラブルを自分たちだけで解決する体験がいたって少ない)から、小さなトラブルは時間の経過とともに重大化していく。関わる人数が膨らみ複雑化していき、そして、初めは小さかったトラブルなのに、いつの間にかクラス全体を巻き込むような事態に陥ってしまい、遂には家庭同士の話し合いでは収拾がつかなくなったところで、「学校でどうにかしてください」という「匙投げ現象」が起きるのだ。それが今の学校現場の実態である。
「家庭」で起きたことは、まず、「家庭」が自主的に問題解決すべきだし、子ども間トラブルが発覚した当初は、「家庭」の持つ教育力が十分に機能すれば問題解決できるケースが多々ある。しかし、多くの場合、「家庭」が自らの教育力を発揮すべき時に(一時的に、端末を持たせないようにするなど)発揮しないので、事が広がってしまい大きな混乱が生じてしまう。そうなってしまったら「もう大変」の一言。解決するための時間と労力が莫大になり、教師は疲弊し、結局は教師がやらなければならない教材研究や指導計画などの時間が奪われていく状況になるのだ。